エリザベート(2008年度版)

(本家サイトからエリザベート別館にて、2008年度以前のレポート、イラストなど掲載)

 5年も6年見続けてきた主役が変わったその雰囲気を違和感と感じるなというほうが無理な話で。

 新生エリザベート名古屋観て参りました。以下、基本的には以前との比較、新しいキャストへの雑感など。作品そのものについては本家サイトと別館に嫌というほど書いてる。

 中日劇場って小さいな結構! それもあるのかな…全体に若干テンポアップしてる。音楽の余韻や芝居の間が短く感じられた。なんとなくスケールが…? こないだまでウィーン版の豪華なのを観てたってせいもあったりして。
 …私がよく聴く2001年版CDは、その年の後半の上演回と比較してもわりとスローテンポなんだけど、それにしても、以前は1幕80分を少し超えてたと思うけど、今回若干80分を切ってた。
 その「間」には、以前は、一路さんのオーラみたいなものが満ちていたんだと思う。そこが交代したら当然変化がおきる。…ような気がする(笑)。わかんないけど! 
 同じであるわけがないし、ある必要もないから。
 こなれてないのも当然。頭でわかってんのに、その違いをこそ観にきているはずなのに、こんなにひしひし感じるもんなんだなーとか。初演宝塚版を観たとき、今思えば若干たるかったのが東宝版にはそれを感じなかったのは一路さんのおかげだと感じてた。エリザベートはただの女役ではなくヒーロー級の見どころになっとった。私はトートがやっぱり好きなはずなんだけど、あー一路さんのエリザをこんなに頼りにしてたんだなーとか思った。一路エリザというものが、作品をビシッと締めるたがになっていたんだなと思った。

 とまあ惜しんでいてもしょーがないので。

■朝海ひかる(エリザベート皇后)■

 では新しいとこに目を向けて行こっか! 朝海ひかるエリザ! おきゃんな娘時代もかわいいけど、やっぱまだこの大役、だいじょうぶ?! って思いながら序盤みてた。最初の見どころとなるのは「私だけに」のソロだと思うけど、うん、表情の変化とか見えて心配したよりはよかった…というか美しいという点ではほんま美しいな! 
 ただやはり山口祐一郎には太刀打ちできてないとは思った。エリザベートというタイトルロールは、こんなもんじゃないだろう、と。5年熟成ものの一路エリザなんかと比べること自体むちゃくちゃなんだけど、比べずすむはずもなく。
 まだ役を演じるのに必死なかんじで、肝心なことだと思うんだけど、皇后がトートを愛してる、反発しても否定しきれないほど惹かれているという雰囲気はあまりなかった…ような…。
 まあまだ公演半月め。半年後の大阪が楽しみだ。イメージ自体はとても正当派なエリザベートなので、あとはスケールがおっきくなれば見応えもっと増すだろう。武田トートとの組み合わせを是非観てみたい。

■伊礼彼方(ルドルフ皇太子)■

 彼方ルドルフは期待してたけど期待通りかそれ以上によかった。いつの間にこんなに上手くなったのか。元々か? 見栄えもいいし、声も通るし、案の定武田トートとの絡みは不必要にえろかった(笑)。結構結構(笑)。
 キスシーンのあと銃で自殺するとこって今までのルドルフは無意識にってかんじだったけど、彼方は手にある銃をびっくりしたように見て、観念したようなというよりは反抗的な顔で、ため息ついて覚悟決めて、撃つというかんじ。だいぶ違う解釈だよねーと。浦井くんの方はどうなってるのかな。

■涼風真世(エリザベート皇后)■

 そして夜の公演は涼風エリザ。朝海さんは今までのと比べて「違和感」ってかんじだったが、涼風さんは「違うもの」って感じ(笑)。
 宝塚男役のキャリアではちょうど一路さんと同時期にトップやってたという人で、一路さんと並んで歌に定評あるトップで、ベルばらのオスカルが非常にハマる二人で、けれど、個性としては結構一路さんと涼風さんて違うものをお持ちだなーと改めて思った。
 ストレートで真直ぐで名前の通りのイメージの一路さんは、融通のきかないエリザベートにぴたりはまってるけど、涼風さんはどちらかといえば絡め手の、底知れない、不思議な魅了の持ち主だから。
 独特なんですよね雰囲気…勝ち気で、凛として、闘争心溢れる朝海エリザに対し、円やかで、典雅で、ゆるりとかわすかんじの涼風エリザ。
 技術的にも必死な感じの朝海エリザ(それはエリザの必死さとリンクして見えてプラスになってたかもだけど)に対し、涼風さんは余力ありすぎて必死の闘争をしてる感じがしない。武田真治なぞ歯牙にもかけてないような(笑)。
 女優として個性的すぎるのかなー見応えはあるし今までと違うアプローチで完成してるエリザベートは楽しいけれど、精神を病むほど押し込められて逃げようとあがいているという、エリザベートの基本造形から乖離しとらんかと…。
 観る側の責任もあるけど。一路さんを基準にしてしまうとゆー。でもトートと違って、エリザベートには確固たる性格設定があるからな。
 武田トートのような絡め手の面白さを楽しめるのは正当派な山口トートが続投してるからで。一路エリザが続投してれば、異なるアプローチってのもアリと思うのだろうけど…いや嘘かな…それはそれで際立つだけかも…ぶつぶつ…。
 でも見応えはあった。「涼風エリザ」は方向性はどうあれかなりの完成度があった。地力が感じられるなー。
 涼風さんのオスカルは私の中でNo.1のオスカルだけど、最近の役では「あずみ2」の狂気を帯びたような剣士、最上美女丸と淀君の2役とか最高によかった。やっぱり裏のある、でもどこか無邪気さを併せ持つ悪女とかすごいいいよなー。

 それから前回東京で1度観たっきりの武田トート! うまくなってる…初ミュージカルが前回のエリザベート公演で、当時から、初というわりには中々歌も頑張ってたけど、その後「スウィーニー・トッド」なんかも経験して、あっという間にミュージカル俳優になってしまわれた。演技や解釈は相変わらず面白い。山口トートや内野トートは割と純愛だけど、武田トートは悪意があるね、行動に(笑)。ただ前回はそれが「ほんとにエリザのこと好き?」と感じたんだけど、今回はそこはむしろぞっこんラブだと思った(笑)。ピュアはピュアだった。行き過ぎてるだけで(笑)。「悪夢」のシーンで以前はけらけら笑いながら王家の縁者を地獄に叩き落としていたけど、その辺少し控えめになってて、ふざけてる雰囲気がなくなって、エリザベートへの愛を貫くためという、芯が見えるようになった気がする。
 相手が涼風エリザだったせいもあって、マダムを陥落させようと気合いいれて挑む若い小悪魔みたいな「最後のダンス」でした。山口さんの「最後のダンス」はちょっと別格だけど、こっちもかなり面白かった! キャラ作りも落ち着くところに落ち着いて、けれど演技は毎回変化がありそうで、かなり見てて楽しかったです!


エリザベート(2008年度版)/2008年8月観劇
 ウィーン発の大ヒットミュージカル東宝版。今まで主役を演じていた一路真輝に代わり、二人の皇后が新たに登場する。
 絶世の美女とうたわれたオーストリア皇后・エリザベート(涼風真世/朝海ひかる)。奔放で自由を愛する少女であった彼女は、皇帝フランツ(鈴木綜馬/石川禅)と結婚したことにより、格式と因習に囚われ、皇后としての責務をのみ求められる人形としての人生を課せられる。抗い難い「死」の誘惑、死の愛と自由な生の間で戦いつづけるエリザベート。彼女が自らに運命を委ねるその時を、死の帝王トート(山口祐一郎/武田真治)は待ち続ける。

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