SHIROH

 なんだかんだといいながらこれだけ有名なこの劇団☆新感線を、この前ようやく初めてみたと言うこの遅れっぷり、今更ながら、ゲキ×シネにて「SHIROH」を観て参りました。
 ゲキ×シネとは、その名の通り、演劇でありながらシネマである、映画館で見る演劇ということです。
 しかして大画面の迫力でみればみるほど、やはりナマで体験したかったと思うものでした。いい意味で言っているつもりです。画面から迫力が読み取れたからこそ、ナマの迫力を想像させられる。この音をこの声をこの演出を、ナマで劇場で体感したかったと、むしろそう思わせるものでした。肯定的な意見として。

 それにしてもこの劇団の舞台はとにかく桁違いにキャッチーなのだな。かっこいい。音楽。演出。個性派俳優。ばっと目を引き、そのままぐいぐい引っ張ってくれる。安心して観ていられる気がする。なんでこの劇団がこれだけ有名なのか、観れば納得のすごさです。

 力も理想もあるけれど、ただ一つ、神の奇跡だけは持たない男・四郎(上川隆也)。
 地位も理想もないけれど、神の声だけは持つ男・シロー(中川晃教)。

 天草四郎と隠れキリシタンという題材を、2人のSHIROHという存在を中心に描きます。天真爛漫な中川くんのシローに対し、挫折を味わい地位もある上川さんの四郎の苦労人なところが、それだけではなんか可哀想なだけの役回りになってしまいそうな設定なのですが、彼に相対するライバル・柳生十兵衛(橋本じゅん)というオモシロ武将が絡んでくれることで、かっこよさもきっちり備えていいですね。

 ところで吉野圭吾という俳優はほんとに目を引くなあ(爆笑)。「ダンス・オブ・ヴァンパイア」で主人公にコナかける濃ゆいホモの吸血鬼(Tバッグ)を怪演してましたけど、今回はホモではないけど、敵方の武将で何故か親友の武将と「カッちゃん」「シゲちゃん」と呼び合うとてもとても仲良しコンビ。
 この辺の思いっきり方が、同劇団の「メタルマクベス」のバンクォー橋本の幽霊…の、お面を被った汚いケツのTバッグ(頭に包丁が刺さっている)という格好をした大群(爆笑)、が、主人公の幻影としてあっかるい歌「あの娘のブーツは豚の耳の匂い」に乗せてるんるん踊りまくる…というシーン、とか、もう、ブラックジョークではすまないんですけどそういうギャグ方向への振り切り方がいちいち迷いも何もなくて好きですねー。

 作品としてはなるほど荒削りと感じる部分も確かにあるのだけど、存分にかっこよく、楽しませていただきました。かっこいいんだほんと。
 あと最後のスタッフロールに見れる錦絵のようなふたりのSHIROH(劇場ではセットの一部なのかな)の絵がとても美しくて素敵だった。


SHIROH/ゲキ×シネ2008年7月観劇
 三代将軍家光の時代、天草・島原。隠れキリシタンたちを率いるのは、2人のSHIROHという男だった。
 ひとりは、神の声を持つが人のために使うことを知らぬ、天草のシロー(中川晃教)。
 ひとりは、志と力を持ちつつも、ただ神の声のみを持たぬ、島原の四郎(上川隆也)。
 2人が出会ったとき、運命はすでに悲劇への歩みを進めていた。